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DX

デジタル化の考え方

JSUG の 「S/4への移行を考える会」へリモート参加しました。既にSAP S/4HANA®に移行を実施されたユーザー企業(トラスコ中山株式会社 様)の成果を共有頂きました。

チームビルディング、ベンダーコントロールと全てにおいて参考となる事例でしたので、SAP S/4HANA®への移行をお考えのユーザーには大変有意義な時間だったと思います。

また、SAP S/4HANA®への移行予算を通すための大きな課題も明らかになりました。

SAP S/4HANA®がどうDXの足掛かりになるのか?

予算を通すためにも、目的とするDXの例があると説得力が増します。DXと言っても新たな売上を産むのか、コスト削減を達成するのか、二つの視点からのアプローチがあると思います。

DX 対象主幹
新たな売上を産み出す新規ビジネス 立上げチーム
コスト削減を達成するIT部門
DX 二つのアプローチ

「新たな売上を産み出すDX」は、既存システムのお守りをしながら、IT部門が主導して進める事は難しいでしょう。そもそも新しいビジネスを立ち上げるのですから、別の能力要件が必要とされます。

ただ、SAP S/4HANA®へ移行する理由付けとして、「こういったDXの例がある」と紹介できれば、「新たな売上を産み出すDX」と「コスト削減を達成するDX」の双方から説得できる材料となるはずです。

売上を産み出すDX

では事例の少ない中、どうやってアイディアを出すのか。このアイディア出しを外部のコンサル会社へ丸投げするのは、あまりお勧めしません。彼らは貴社のビジネスについて学ぶ時間が必要ですし、商習慣についても詳しくないかもしれません。

もう20年ほど前になりますが、私が2000年に手掛けたコンサルティング案件で「業務の電子(デジタル)化」というのがありました。その際に定義した「電子化が可能か否か」という考え方(一部)をご紹介します。

例は2000年当時の記載のままです。既に実現されている事ばかりなので、「考え方」の視点でご覧ください。

分類電子(デジタル)化の可否
デジタル化が可能な物品やサービスである(例:CD)デジタルコンテンツ化で配信可能。
デジタル化が不可能な物品やサービスで、人が移動しないと享受できない。(例:ヘアカット)予約は電子化可能。
デジタル化が不可能な物品やサービスで、人が移動しなくとも享受できる。(例:食品)注文から配達依頼まで電子化可能。
業務の電子化(考え方)

営業部門やマーケティング部門を主幹として、貴社のビジネスのうち、何がデジタル化されれば合理的・効率的で、顧客(ユーザー)にメリットがあるのかの視点で考えると、割と簡単に答えが出てくると思います。貴社の強みを活かした、競争力のあるDXを考え出して下さい。

コスト削減を達成するDX

これはコンピューターシステムの歴史を紐解くと答えは解ります。一つ目は「単純で繰り返し行う仕事をコンピューターに実行させる事」すなわち自動化です。ERPの導入時に行えなかった自動化を進めるだけです。「データをダウンロードして、Excelで加工してレポートを作成する」業務を自動化するだけで、コスト削減を達成する立派なDXです。

意思決定をアシストするAI

そして二つ目が20世紀からの目標であり、課題でもあるAI化です。AIの定義が古今東西定かではないのですが、解りやすい例を挙げると、映画ターミネーターに出てきた「スカイネット」や、映画アベンジャーズに出てくる「ジャービス」や「フライデー」「カレン」です。

前者はAIが主体で物事を判断して決定し実行に移します。

後者は主である人間に最終決定を求めますが、人間がやらなくてよい事は、AIが担当して制御します。

いずれにせよ、チャットボットではやや物足りない側面があるので、スマホのような音声インターフェース(音声入力、音声出力)が実装されると、さらにAI感が高まります。

ビッグドライブ株式会社は起業した2社目ですが、1社目の合資会社フロンティアワークス時代に、AIが生成したアウトプットを音声出力できないかという発想のもと、文字を音声に変換する実験を2001年に行い、2002年に発話しょうがい者向けソフトを開発し、沖縄社会福祉協議会にお買い上げ頂きました。

Nirai Kanai Voice(ニライカナイボイス)

http://www.fukushi.com/news/2002/05/020507-a.html

人間が求めるニーズに基づきシミュレーションを行い、何を高めれば求める結果が得られるか提案する事もAIの領域でしょう。

2013年に弊社は、ゴルファーの身長、体重、ウイングスパンを入力すると、ヘッドスピード別、打出し角度別にボールの弾道と飛距離を算出するサービスを開発しました。これは気温毎に異なる空気摩擦、ボールの質量、ディンプルの数による回転数を予測して軌道とキャリーを計算しています。

ビッグドライブアナライザー

https://news.golfdigest.co.jp/news/gear/article/47085/1/

※2013年当時マーケットの一部の方にはご理解頂きましたが、まだ時期が早いという判断の元、サービスは停止中です。

アイディア次第でDXの領域は無限に広がります。SAP S/4HANA®への移行をきっかけに、貴社独自のDXが見つかると思います。

横並びでどこかの成功事例を真似るのではなく、貴社の強味を知っている方と、会社をより良くしたいと考えている方と一緒にDXを検討して下さい。

作成者: 左 和紀(玉寄 和紀) Kazunori Hidari ( Kazunori Tamayose )

1973年沖縄県那覇市生まれ。10歳でBASICプログラミングを始める。1992年沖縄県立那覇高等学校卒業、1996年大阪学院大学商学部経営学科を卒業し、 SAP® R/3® Ver. 2.2D でABAP®開発者としてキャリアをスタート。

1997年SAP® R/3® HR(HCM)の日本向けローカライズを担当した師匠と出会い、HR コンサルタントとしてのキャリアをスタート。その後も デロイトトーマツコンサルティング、SAP ジャパン等でHCMコンサルタントとしてのキャリアを積み、2011年7月前身のビッグドライブ合同会社を設立。

SAP® ERP HCM の機能に精通し、独立後もSAP社や大手コンサルティング会社(ABeam社、PwC社、TCSJ社)のプロジェクトにて問題解決、現場のコンサルタント(マネージャー・シニアコンサルタント)への指導実績を持つ。また、デロイトOBで米国ニュージャージー州を拠点に活動する人事コンサルタント と交流があり、2000年代から日米の人事制度の違いについて学ぶ。

クラウドサービスはASPと呼ばれていた頃から知見があり、デロイト在籍時には、大手通信事業者向け戦略立案支援に携わった。

趣味はムエタイとボクシング。
SAP® Certified Application Associate – HCM with SAP® ERP 6.0 EhP6

【執筆:ASP ネットソーシング時代のIT戦略】
https://str.toyokeizai.net/books/9784492530849/