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運用面でのコスト削減

運用時の失敗要因

導入時の失敗要因では、導入時の失敗原因を分析しましたが、システム稼働後の運用現場でも緩い失敗(コストに見合わない運用)が見受けられます。通常、 SAP® R/3®を導入したベンダーの何名かが保守メンバーとして残り、システムの運用を行います。保守マネージャーがユーザー業務を理解し、あらゆる方面との交渉力を持っている現場は、何も心配ありません。

では緩い失敗が起こる要因とは何でしょうか。導入時の成否がそのまま引きずられる事になります。

No.ユーザー側ベンダー側結果
1リーダークラス機能熟知成功
2リーダークラス機能知識に乏しい要求された機能をAdd-Onや手作業で逃げる。
3担当者レベル機能熟知現状維持を求められ、ベンダーの提案が通らない。
4担当者レベル機能知識に乏しい既存システムと同じシステムが出来上がる。
導入時の失敗要因

これを運用場面に当てはめるとこうなります。

No.保守マネージャー保守メンバー結果
1リーダークラス固定・熟練度UP熟練度が上がり機能知識が深まる事で、コストパフォーマンスの高い保守が可能。
2リーダークラス頻繁に入れ替え熟練度が上がらず、単純なAdd-Onや手作業ばかりが増える。
3担当者レベル固定・熟練度UP何度も拒否され続けると改善意欲も失せ、単純なAdd-Onや手作業ばかり増える。
4担当者レベル頻繁に入れ替え効率化や自動化とは程遠く、体力と根性で運用するシステムと化す。
運用時の失敗要因

保守メンバーの熟練度を高めながら、保守マネージャーも業務知識を深め、ユーザー側との交渉能力を高める事が重要です。

どちらか一方だけが秀でても上手く回りません。今後は労働人口が減少するため、No.4のように「体力と根性で運用する」形からは脱却して、テスト自動化ツール等を積極的に導入する等、少人数で、さらには有事でも事業を止めないシステム運用にシフトする事が望まれます。

タイミングとしては、SAP S/4HANA®への移行と同時期に、または移行後に少しずつ自動化を取り入れて行く事をお勧めします。クラウドに移行するのは、災害対策としても非常に有効です。

作成者: 左 和紀(玉寄 和紀) Kazunori Hidari ( Kazunori Tamayose )

1973年沖縄県那覇市生まれ。10歳でBASICプログラミングを始める。1992年沖縄県立那覇高等学校卒業、1996年大阪学院大学商学部経営学科を卒業し、 SAP® R/3® Ver. 2.2D でABAP®開発者としてキャリアをスタート。

1997年SAP® R/3® HR(HCM)の日本向けローカライズを担当した師匠と出会い、HR コンサルタントとしてのキャリアをスタート。その後も デロイトトーマツコンサルティング、SAP ジャパン等でHCMコンサルタントとしてのキャリアを積み、2011年7月前身のビッグドライブ合同会社を設立。

SAP® ERP HCM の機能に精通し、独立後もSAP社や大手コンサルティング会社(ABeam社、PwC社、TCSJ社)のプロジェクトにて問題解決、現場のコンサルタント(マネージャー・シニアコンサルタント)への指導実績を持つ。また、デロイトOBで米国ニュージャージー州を拠点に活動する人事コンサルタント と交流があり、2000年代から日米の人事制度の違いについて学ぶ。

クラウドサービスはASPと呼ばれていた頃から知見があり、デロイト在籍時には、大手通信事業者向け戦略立案支援に携わった。

趣味はムエタイとボクシング。
SAP® Certified Application Associate – HCM with SAP® ERP 6.0 EhP6

【執筆:ASP ネットソーシング時代のIT戦略】
https://str.toyokeizai.net/books/9784492530849/